各国の誤訳訂正制度 - グローリア国際知財事務所

各国の誤訳訂正制度

外国へ特許出願する場合、まず出願人の母国語である第1言語で特許明細書を作成し、それを出願対象国の言語である第2言語(外国語)に翻訳する場合が、これまでのところは大多数です。

その際、誤訳が生じてしまう場合が想定されます。そのような場合を救済するために、多くの国において、誤訳訂正制度が用意されています。韓国には長らく誤訳訂正制度が無かったのですが、同国にも2015年に誤訳訂正制度が導入されました。

しかしながら、費用削減などを狙って、第1言語による特許明細書の過程を省略して、いきなり第2言語の特許明細書を用意した場合には、誤訳訂正制度を利用出来なくなる点に留意が必要です。

ただし、米国においては、基礎出願が英語以外の言語で行われていた場合には、その基礎出願の明細書に基づいて、優先権主張出願の明細書の誤訳訂正を行うことが許可されています。

さらに、米国では、例えば翻訳文(英文明細書)に原文(基礎出願の明細書)に対して欠落部分があったとしても、基礎出願を援用することにより補充することも認められています。

またそれだけではなく、米国では、分割出願に相当する継続出願においても、明細書に誤訳があった場合にはこれを原出願に基づいて修正することが出来る手段が用意されています。

このように、米国は、日本や欧州・中国などと比べて、誤訳の訂正に対して概して寛容であるように思われます。

ただし、米国で誤訳訂正を行うためには、上申書を提出しなければならない場合もあり、また米国代理人費用や対応時間も相当かかってしまうことが想定され、コスト面でも手続面でも、負担が大きいので、やはり当初から極力、誤訳のない正確な訳文を用意することが望ましいです。

 

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