電気自動車でエンジン音を楽しむ - グローリア国際知財事務所

電気自動車でエンジン音を楽しむ

特許の観点では、発明は、従来技術における「解決しようとする課題」が設定され、その課題を解決するための手段をあれこれと考えることにより、創出されます。

しかしながら、一般的に「解決しようとする課題」と信じられていたものとは真逆の課題が設定されて、その課題を解決する手段として、ユニークな発明が生み出されることもあります。

その好適な例が、旭化成が実用化を進めている「エンジンサウンドクリエーター」です。

これは、電気自動車へ搭載する用の、デジタル信号プロセッサーを活用した車載装置であります。

電気自動車に搭載することにより、8気筒エンジンの音や、12気筒エンジンの音、さらには未来の車の仮想のエンジン音を、電気自動車において生成することができます。

従来、ガソリンで動く自動車では、エンジン音がうるさいから、この騒音を減らすことが一般的な課題でした。

しかし、電気自動車の技術がようやく進歩して来た今では、電気自動車ならではの課題として、(エンジン音がしないため)オペレータがスピード感を感じることが出来ない、という新たな課題が見いだされるようになりました。

この課題を解決するために、わざわざ、モータで動く静かな自動車に対し、仮想のエンジン音を付与することを考え出したのです。

これまでならば、エンジン音を極力減らそうという方向に技術者たちが努力していたにも関わらず、です。

このように、技術の進歩は常に一方向に直線的に進むのではなく、時には従来の技術を取り入れたりしながら、流動的に変化して行く自由なものです。

さらに旭化成は、エンジン音をさせながらも車内で音楽鑑賞を楽しめるように、「オーディオエフェクト効果」なるものを提供予定だそうですよ。

音楽好きの一人として、大変楽しみです。

しかし、まずは電気自動車が日本よりも普及している中国で先駆け的に導入してみて、その様子をみて日本でも追々採用するそうです。

日本で電気自動車の普及が遅れてしまっているのは少し気がかりですが、我が国へ「偽造エンジン音」の技術が晴れて到来したら、是非試してみたいです。

ただし、私は自動車免許を未だに持っていないので、まずは自動車学校に入学して免許を取得しなければ、運転フィーリングを身をもって味わうことは出来なそうです(^^;

 

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