クレーム解釈の原則 - グローリア国際知財事務所

クレーム解釈の原則

 

晴れて特許権を取得出来た場合、特許権者は、侵害行為をしていることが疑わしい相手方の製品(被疑侵害物件)や製法など(被疑侵害方法)に対し、差止請求権や損害賠償請求権を行使することが出来ます。

その場合、特許権者は、侵害訴訟において、クレームの解釈を行い、特許発明の技術的範囲を確定させたうえで、被疑侵害物件や被疑侵害方法が特許発明の技術的範囲に属することを、自らの側で主張立証しなければなりません。

具体的には、特許権者側のやることとしては、①特許請求の範囲に記載されたクレームを構成要件ごとにぶつ切りにし(これを「分説」といいます。)、②クレームの解釈を行ったうえで、③被疑侵害物件等が自らのクレームの全ての構成要件を充足しているか否かを検討します。

もし、被疑侵害物件等が全ての構成要件を充足していたら、文言侵害(直接侵害)が成立します。

ここで、クレームを解釈する際には、クレームに記載された用語が、通常は、学術用語として普通の意味で解釈されます。

明細書中に特別な定義付けがされている場合には、その記載が参酌されますが、そうでない場合には、その有する「普通の意味」でもって解釈されます。

「普通の意味」を裁判所が探求する場合、多くの場合には国語辞典が証拠として提出されます。特に、裁判所は「広辞苑」を証拠として使用することを好むようで、裁判例には頻繁に「広辞苑」が登場します。

それなので、弁理士も特許明細書を書く際には「広辞苑」をよく活用します。少しでも用語の意味に疑義を抱けば、「広辞苑には何と定義されているか?」を確認し、後々に訴訟などで問題とならないように注意深く吟味します。

私も、電子辞書に入った広辞苑を所有していますが、紙の辞書をパラパラと調べるのも好きなので、お小遣いに余裕があるときに購入して手元に置いておきたいものです。

また、欲を言えばJIS等の科学技術用語集も手元に置いておくことがベストですが、こちらは電子辞書に入っていることはまれですし、非常に分厚く重たく、また高価なので、なかなか最新版を常に購入することは叶わないです。

しかし、こちらも事務所が軌道に乗ったら是非買い揃えたいところです。

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