量産品は著作権で保護される? - グローリア国際知財事務所

量産品は著作権で保護される?

 

工業的手法で量産される物品にも、優れたデザインのものがあります。

例えば、私が好きな関西エリアで著名なコーヒーショップ「HIRO」では、美しいウェッジウッドのカップ&ソーサーが、ガラスの飾り棚の中に綺麗に並べられています。

あるいは、量産されている椅子やテーブルでも、例えばアンティーク風などの、美しくてうっとりするデザインのものが見受けられます。

あるいは、何かの製品のおまけとして付いてくる、キーホルダーやフィギュアの中にも、凝ったデザインのものがあります。

デザインを保護する法律と言えば、意匠法と著作権法が代表例として考えられますが、これらのすみ分けや違いは、どうなっているでしょう?

まず、意匠権は、意匠登録出願をしなければ発生せず、また権利期間も出願後25年と限定的です。これに対して、著作権は、出願や登録などの手続きをせずとも発生し、管理期間も著作者の死後70年と、かなり長い期間にわたり有効です。

しかし、意匠登録をしている場合、著作権を用いて権利行使する場合と比べて、立証等の手続きが容易になる、効力が意匠登録と類似する意匠の実施にも及ぶ、などのメリットがあります。

さらに、日本の裁判所の立場は、意匠権で保護される余地のある量産品のデザイン(形状など)に関しては、著作権で保護することを、これまでのところあまり積極的には認めてくれてないようです。

具体的には、タコのような形状の滑り台(タコの複数の足部分がそれぞれ、「滑り台」になっているもの。)について、実用目的を達成するために必要な機能に係る構成と分離して、美的鑑賞の対象となり得る美的特性である創作的表現を備えている部分を備えているとは認められないとして、著作物性が否定された事件がありました(知財高判令和3年12月8日裁判所ウェブサイト(令和3年(ネ)第10044号)。

また、「エジソンのお箸」が、美術の著作物として保護を求める以上、美的観点を全く捨象してしまうことは相当でなく、何らかの形で美的鑑賞の対象となり得るような特性を備えていることが必要であるところ、お箸の先端部に絵柄を付した円板を付けたものについて、美的鑑賞の対象とならないとして、著作物性が否定されました(知財高判平成28年10月13日裁判所ウェブサイト(平成28年(ネ)第10059号)。

一方で、量産品である博多人形について、意匠と美術的著作物の限界は微妙な問題であって、両者の重畳的存在を認め得ると解すべきであるから、意匠登録の可能性をもって著作権法の保護の対象から除外すべき理由とすることもできない、などとして、博多人形が著作権法上の美術工芸品として保護される、と判示された例もありました(長崎佐世保支決昭和48年2月7日裁判所ウェブサイト(昭和47年(ヨ)第53号))。

他にも、実用的かつお洒落なデザインの幼児用椅子について、著作権法での保護が否定された事例がありました。

これらをみる限り、量産品の形状等が著作権で保護されるためのハードルは、結構高そうですね。

ところで、私は、量産品を購入したときに度々付いてくる「おまけ」のやり場に、少し困っています。せっかく店員さんがくれたものなので、捨てるのも何か悪い様な気がするし、かといって欲しくてもらったものでは全くないので、「要らないのに」と感じることも多いしで、やるせない気持ちになるからです。

私は、物を捨てるのが惜しく感じて、捨てられない質なので、そういうガラクタ達が家にどんどん貯まっていってしまいます。

例えば、カフェで新年にもらったお年玉袋(中に5円(ご縁)玉が入っている。)とか、甲子園球場でもらった鳥谷や梅ちゃんの小さなプラスチック製キーホルダーとか、路上で不動産屋の兄ちゃんが配っていた入浴剤とか、そんなモノ達です。

それならば、その場で「要らない。」と正直に言えばいいのに、とも思わなくもないですが、配っている人が明らかにガッカリした顏をすると、また罪悪感を感じてしまいます。

それであるとき、ビジネス用カバンを買った時に、店が空いていたこともあり、もらったオマケの袋を、その場で開けてみたことがありました。店員さんも、中にどんな物が入っているのか、実は見たことがなかったそうで、興味津々に、開封の様子を見守ってくれました。

開けてみると、なんと「モンチッチ(?)」(子猿の絵柄。)の小さなプラスチック板が入っていました。。。

私は、モンチッチというキャラ自体を知らなかったので、「?」となったのですが、店員さんによれば、最近、海外でそのキャラクターが流行っているらしく、「外国の方に見せたりあげたりしたら、喜んでくれるかもしれない。」との情報を得ました。

ということで、今度、海外の知人・友人達に、モンチッチを知っているか否か、さっそく聞いてみようと思います。

というわけで、ごく短い or 僅かな、通りすがりで生じた会話でも、なにか次の会話のネタに繋がることがあるかも知れないですので、ダメもとで何か二言、三言、喋ってみると、たまにはよい事もあると思います。

特に、普段わりと一人でいる時間が長い私のような者にとっては、コミュニケーションは、楽しい大切な時間です☆彡

 

 

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