サービス意匠~その物品自体の形態ではない意匠~ - グローリア国際知財事務所

サービス意匠~その物品自体の形態ではない意匠~

 

確か弁理士試験の短答試験の勉強をしていたときに、以下のような問題があったのを結構明確に覚えています。

「売り場に花のような形に整えて並べてハンカチ(スカーフだったかも?)を陳列して販売することを考えている場合、これについて意匠登録を受けることができるか否か?」

当時学んだときの記憶では、確か解答は(というか確実に)NOでした。

理由は、商品をどのように陳列するか(例えば折り畳んだりして綺麗に並べるなど。)は、物品自体の本来の形態とは関係が無いからです。

意匠法は、物品の物品の形状等、視覚を通じて美感を起こさせるものを保護する法律であるため、物品自体の形状に該当しないものは保護されない、という考え方でした。

しかし、令和2年3月19日に意匠審査基準が改訂され、販売時の形状に特徴がある意匠についても保護が拡張されました。

そのため、例えば、販売時には圧縮されたコンパクトな形状で売られているタオルで、使用時には吸水して通常の大きさとなって用いられるようなものでも、保護対象となるようになりました。

ところで、自宅に、アニバーサリーのときにホテル阪急インターナショナルで貰った、テディベアの形状に紐で硬く結んだハンドタオル(二体でワンセットのもの。)がありました。

当初は、紐をほどいてハンドタオルとして用いようかとも思ったのですが、あまりにも愛らしすぎて、解かずにそのままの形態でずっと部屋に飾っていました。

家にビションフリーゼの子犬(Gouldちゃん)が来てからは、家中の物をおもちゃにして散々遊ぶようになりましたが、Gouldちゃんがどんなに嚙み嚙みして遊んでも、紐が解けることはなく、ずっとそのハンドタオルは、テディベアのおもちゃとしてGouldちゃんにおもちゃとして使用され続けていました。

このような物も、現在でしたら、もしもノベルティグッズではなく、通常の商品として販売することを予定していたら、意匠として登録出来そうですね。

法律や審査基準は頻繁に変わるので、昔に知り得た知識をそのまま信じるのではなく、常に最新のものをチェックし続ける義務と慎重さが、我々弁理士には要求されます。

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